社長メッセージ

株主ならびにお取引をいただく皆様には、平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼を申し上げます。

2025年3月期におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善や、個人消費および企業収益に持ち直しの動きがみられ、緩やかな回復基調が続きました。一方、先行きにつきましては、不安定な国際情勢を背景とした海外景気の下振れリスクから、依然として不透明な状況が続いております。

住宅市場につきましては、政府の住宅取得支援策が継続したものの、資材価格および人件費高騰による住宅価格の上昇や、住宅ローン金利の引き上げが消費者の購入意欲の低下につながり、新設住宅着工戸数が弱含みで推移しました。一方で、中古住宅の取引件数は、前年を上回る水準で推移しました。住宅ローン市場につきましては、住宅価格上昇の影響などによる借入金額の増加もあり、底堅い動きとなりました。

このような事業環境のもと、当社グループは中期経営計画「Next Phase~成長と価値創造~」の基本方針である「基幹事業の拡大」、「周辺事業への進出」ならびに「企業価値の向上」に基づき各種施策に取り組んでまいりました。

基幹事業の拡大におきましては、新規住宅ローン市場での保証事業拡大(オーガニック成長)および既存住宅ローン市場からの保証債務残高獲得(インオーガニック成長)に取り組みました。新規住宅ローン市場での保証事業拡大(オーガニック成長)につきましては、子育て世代をターゲットとしたキャンペーンを実施し商品競争力の向上を図りました。また、金融機関の業務効率化を支援するシステムの提供など、他社との差別化を進め案件獲得につなげたほか、未提携金融機関との新規契約締結につきましては、当連結会計年度において、インターネット銀行1行、第一地方銀行1行、JA2組合の合計4機関と契約締結に至りました。既存住宅ローン市場からの保証債務残高獲得(インオーガニック成長)につきましては、他保証会社3社のM&Aなどにより、保証債務残高を積み上げました。

周辺事業への進出におきましては、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を通じて、住生活に関する分野でシナジー効果が期待できるスタートアップ企業4社に出資を行い、新たな価値創造に向けた取り組みを進めたほか、グループ会社を活用した保証領域拡大ならびに債権管理回収分野の収益源拡大を図りました。

企業価値の向上におきましては、成長投資など資本政策の着実な実行に取り組みました。また、サクセッションプランの運用など人的資本への投資を実施したほか、地方自治体および金融機関と連携した空き家対策の実施など重要課題解決に向けた取り組みを進めました。

当社は、2023年4月より中期経営計画「Next Phase」をスタートいたしました。本計画では、更なる成長と、価値創造を実現する「住宅ローンプラットフォーマーを目指す」をビジョンとして掲げております。

プラットフォーマーを目指すためには、経営基盤である基幹事業を安定的に成長させていく必要があります。住宅ローン市場における当社保証シェアは拡大余地があると捉えており、新たな商品・サービスの継続的な開発・提供による、新規住宅ローン市場における保証引受増加と、既存住宅ローン市場からの保証残高獲得に取り組んでまいります。
信用保証事業の周辺事業への進出は、独自の住宅ローンプラットフォームを創出するために必要であり、他企業との協業や資本提携・M&A等、グループ会社の有効活用に取り組むことで新たな価値創造を行います。
企業価値の向上におきましては、持続的な成長を図るべく、資本政策の着実な実行に加え、気候変動対策や人的資本の活用などESG関連の諸課題解決にも取り組んでまいります。

中期経営計画の達成に向け、さまざまな施策を着実に実行し更なる業容拡大に努めてまいりますので、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願いし申し上げます。

代表取締役社長 青木 裕一