社長メッセージ

株主ならびにお取引をいただく皆様には、平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼を申し上げます。

2023年度におけるわが国の経済は、政府による各種施策の効果もあり、景気は緩やかに回復し、個人消費、雇用・所得環境および企業収益に持ち直しの動きがみられました。一方、先行きにつきましては、世界的な金融引き締め政策の継続や不安定な国際情勢を背景とした景気下振れリスクから、不透明な状況が続きました。

住宅市場につきましては、政府の住宅取得支援策や住宅ローンの低金利環境が継続したものの、建築資材価格および人件費の高騰を起因とした住宅価格の上昇が、消費者の購入意欲の低下につながり、新設住宅着工戸数は前年同期を下回りました。住宅ローン市場につきましては、住宅価格上昇に伴う借入金額の増加もあり、底堅い動きとなりました。

このような事業環境のもと、当社グループは中期経営計画「Next Phase~成長と価値創造~」の基本方針である「基幹事業の拡大」、「周辺事業への進出」ならびに「企業価値の向上」に基づき各種施策に取り組んでまいりました。

基幹事業の拡大におきましては、新規住宅ローン市場での保証事業拡大(オーガニック成長)および既存住宅ローン市場からの保証債務残高獲得(インオーガニック成長)に取り組みました。新規住宅ローン市場での保証事業拡大(オーガニック成長)につきましては、働き方の多様化や共働き世帯増加等を踏まえた商品基準改定ならびに子育て世代をターゲットとしたキャンペーンを実施し商品競争力の向上を図ったほか、商品説明会および相談会開催による金融機関との関係性強化に努め、保証案件の増加を図りました。既存住宅ローン市場からの保証債務残高獲得(インオーガニック成長)につきましては、他保証会社のM&AならびにRMBS(住宅ローン担保証券)等の取得などにより、保証債務残高を積み上げました。

周辺事業への進出におきましては、物件検討前に借入可能額が把握できる仕組みを不動産検索サイトや不動産会社向けに提供し、新規申込における住宅ローンプラットフォームの構築を進めたほか、グループ会社を活用した保証領域拡大ならびに債権管理回収分野の収益源拡大を図りました。また、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を設立し、スタートアップ企業への出資ならびに協業による新たな価値創造に取り組みました。

企業価値の向上におきましては、次世代リーダーの育成のため、サクセッションプラン(経営人材の育成計画)の運用や各種研修および自己啓発支援実施など人的資本への投資を進めたほか、TCFD提言に基づき気候変動リスクの定量化実施など、重要課題(マテリアリティ)解決に向けた取り組みを着実に進めました。

当社は、2023年4月より中期経営計画「Next Phase」をスタートいたしました。本計画では、更なる成長と、価値創造を実現する「住宅ローンプラットフォーマーを目指す」をビジョンとして掲げております。

プラットフォーマーを目指すためには、経営基盤である基幹事業を安定的に成長させていく必要があります。住宅ローン市場における当社保証シェアは拡大余地があると捉えており、新たな商品・サービスの継続的な開発・提供による、新規住宅ローン市場における保証引受増加と、既存住宅ローン市場からの保証残高獲得に取り組んでまいります。
信用保証事業の周辺事業への進出は、独自の住宅ローンプラットフォームを創出するために必要であり、他企業との協業や資本提携・M&A等、グループ会社の有効活用に取り組むことで新たな価値創造を行います。
企業価値の向上におきましては、持続的な成長を図るべく、資本政策の着実な実行に加え、気候変動対策や人的資本の活用などESG関連の諸課題解決にも取り組んでまいります。

中期経営計画の達成に向け、さまざまな施策を着実に実行し更なる業容拡大に努めてまいりますので、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願いし申し上げます。

代表取締役社長 青木 裕一