社長メッセージ

株主ならびにお取引をいただく皆様には、平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼を申し上げます。

2022年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進んだことで、個人消費および雇用・所得環境・企業収益の一部に持ち直しの動きがみられました。一方では、世界的な金融引き締め政策や不安定な国際情勢を背景とした景気の下振れリスクから先行き不透明な状況が続きました。

住宅市場につきましては、政府の住宅取得支援策や住宅ローンの低金利環境が継続したものの、新設住宅着工戸数のうち、持家と分譲住宅の合計は、資材価格高騰による建設コストの増加が住宅着工を抑制する要因となったことで、前年同期を下回りました。住宅ローン市場につきましても、住宅価格高騰による消費者の購入意欲の低下などを背景に住宅市場同様に弱い動きとなりました。

このような事業環境のもと、当社は中期経営計画「Beyond the Border」の最終年度として「事業規模拡大」、「事業領域拡大」ならびに「企業価値向上」の課題を中心に各種施策に取り組んでまいりました。

事業規模拡大におきましては、金融機関との関係強化や既存住宅ローン市場へのアプローチに取り組みました。金融機関との関係強化につきましては、提携金融機関の利用率向上のため、当社保証商品の説明会や勉強会を実施したほか、例年ご好評いただいておりますキャンペーンを実施し、住宅ローン獲得に向けた営業推進にお役立ていただきました。また、利便性向上に向けた取り組みとして、デジタルを活用したサービスの提供に努めました。既存住宅ローン市場へのアプローチにつきましては、他の保証会社の株式取得(子会社化)について決議したほか、当社グループにとって保証債務残高獲得と同様の効果をもたらすRMBS(住宅ローン担保証券)を取得しました。

事業領域拡大におきましては、住宅購入者、住宅販売者ならびに金融機関の住宅ローンに関する課題を解決すべく、WEB申込とAI審査を利用した住宅ローン申込スキームの実証実験を開始しました。グループ会社を活用した事業領域拡大につきましては、金融機関から債権管理回収業務を受託したほか、他社で対応できない信用保証の領域拡大に引き続き取り組みました。

企業価値向上におきましては、TCFD提言への賛同表明および情報開示を実施したほか、人材育成や女性活躍推進など重要課題(マテリアリティ)解決に向けた取り組みを着実に進めました。

当社は、2023年4月より新中期経営計画「Next Phase」をスタートいたしました。本計画では、更なる成長と、価値創造を実現する「住宅ローンプラットフォーマーを目指す」をビジョンとして掲げております。その実現に向け「基幹事業の拡大」、「周辺事業への進出」ならびに「企業価値の向上」を計画の基本方針として定めております。

プラットフォーマーを目指すためには、経営基盤である基幹事業を安定的に成長させていく必要があります。住宅ローン市場における当社保証シェアは拡大余地があると捉えており、新たな商品・サービスの継続的な開発・提供による、新規住宅ローン市場における保証引受増加と、既存住宅ローン市場からの保証残高獲得に取り組みます。
信用保証事業の周辺事業への進出は、独自の住宅ローンプラットフォームを創出するために必要であり、他企業との協業や資本提携・M&A等、子会社の有効活用に取り組むことで新たな価値創造を行います。
企業価値の向上におきましては、当社グループの保証残高が約16兆円にのぼることから、当社が社会に果たすべき責任は益々重くなっております。持続的な成長を図るべく、資本政策の着実な実行に加え、気候変動対策や人的資本の活用などESG関連の諸課題解決にも取り組んでまいります。

今後も中期経営計画の達成に向け、さまざまな施策を着実に実行し更なる業容拡大に努めてまいりますので、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願いし申し上げます。

代表取締役社長 青木 裕一